ことせかい のサポート体制について
先日、Twitter で呟いたこのあたりの件
について色々思う所があって書いてみたのですが、うまいこと纏まらないので何項目かに分割するような形で記述してみます。
まず、ことせかい を使って頂ける事自体に不満は無いというか逆に使って頂ける事は喜ばしいと考えています。
従って、使ってほしくないわけではないですし、むしろ使って欲しいです。
次に、「お問い合わせ」への対応にかかるコストがその対価に全く見合っていないと考えています。
対価として私が受け取っていると考えている事は例えば、アプリを良くするアイディアを頂戴する事や、
時々併記されている便利に使って頂いている様を読んで喜ぶといった感じの何かなどですが、
これは私が投入している時間や知識や機材などに対する対価としては全く見合っていないと考えています。
逆向きに言い換えますと、お問い合わせ対応に対してのお礼を求めるような事はするつもりはありませんし、たとえとても丁寧なお礼の言葉を受け取ったとしても、そのお問い合わせへの対応にかかった労力には見合わないと考えているという事になります。
つまり、お問い合わせ対応自体を苦痛と感じているとご理解いただければだいたいは合っています。
また、これは私個人の問題のような気はしますが、「お問い合わせ」を受けた私は、そのお問い合わせに書かれている問題を解決しようと試みます。これは反射のようなもので、行わないという選択肢はありません。
これは、「お問い合わせ」に書かれている「問題点」を認識した時点でそれを解決しなければ、と考えてしまうという感じです。
少し違った言い方をすると、「問題点」というトゲが心に刺さる感じといえば良いでしょうか。
認識されてしまった「問題点」が心に刺さって痛いので抜きたくなる感じです。
そのため、「お問い合わせ」を受けると反射的に対応したくなりますし、
対応を放置しても痛いままなので対応しないといけないという力が働きます。
つまり、「お問い合わせ」を無視するという選択肢は取れないと考えていただければだいたいは合っています。
さて、アプリを作る場合、人間がなす事ですのでほぼ必ず不都合も一緒に作り込む事になります。
といいますか、そもそもの設計時点でも問題があったりしますし、もし設計どおりに不都合なく作られていたとしても、使う方それぞれの理由によって「自分としてはこうして欲しいんだけれども」というような不満点は必ず現れます。
そのため、アプリを作って公開するという場合には「お問い合わせ」を受ける事が必ずセットで発生します。
これは避けることができません。
……という事は認識しているつもりです。
今回、Version 2.* を開発したのは、以前から何度もお問い合わせを受けることでトゲとして心に刺さっていた「フォルダ機能」や「端末間同期」や「個々の小説毎の設定」などなどへ対応するためのもので、この Version 2.* のリリースによって今まで抜けなかったトゲが沢山抜けるだろうと思っていました。
けれど、上記のような理由によって不都合も一緒に作り込んでしまったり、仕様の時点で不満点を作り込んでしまったりしていたため、それらについての不満を「お問い合わせ」という形で沢山頂戴致しました。
正直な所、これらの「お問い合わせ」への対応は大変でした。
少し纏めますと、「お問い合わせ」への対応として不都合を直したり、新機能を実装したとしても、「お問い合わせ」がなくなることはありません。しかも、新機能を実装すると不都合が増える事になりますため、「お問い合わせ」は増える事になります。これを回避する事はとても難しいため無理だと考えられます。実際の所、今回の Version 2.* のリリースでは「お問い合わせ」が増えてしまって大変な事になりました。
つまり、アプリを公開している時点で「お問い合わせ」からは逃げられませんし、「お問い合わせ」へ対応しても「お問い合わせ」はなくなりません。いつまでも「お問い合わせ」とは戦いつづける必要があるわけです。
以上の事から、ことせかい を公開している時点で「お問い合わせ」からは逃げる事はできず、その「お問い合わせ」に対応して心に刺さったトゲを抜いていっても、新機能を追加する事それ自体が新しい「お問い合わせ」を発生させる主原因にしかならないのだな、という事はほぼ避けられない事である事が推測されるわけですが、今回の Version 2.* のリリースによって図らずもそれが証明されたような形になってしまったという事になります。
そのため、『ことせかい を作り続けたとしても、いつまで経っても「お問い合わせ」へ対応し続けなければならず、新機能を追加しようものなら、その規模に応じた「お問い合わせ」を受ける事になる』という学習をしてしまったという形になっています。
また、「お問い合わせ」への対応が大変であるという事で、以前から「お問い合わせ」を減らすための努力をし続けていました。これは恐らく3年以上前から考え、努力し続けておりました。しかしながら今回の件によって、ことせかい をより良く改善していく事そのものが、その「お問い合わせ」を減らす努力と相反する行為であったという事に気づいてしまった、という形になります。
そのため、開発を続ける意欲が激減しているというわけです。
これに対してどのような対応が取れるのか、というと、恐らくは「お問い合わせ」の数を減らすか無くす、という方法か、「お問い合わせ」を沢山受けても大丈夫にする、という2つの戦術がありそうに思います。
前者の「お問い合わせ」を受けない、または受けるにしても数を減らすようにするためには、公開しないようにする、であるとか、利用できる人の数を限定するであるといった形にする他には恐らく方法はありません。
ただ、この方法は現在利用しているユーザの方々に不便を強いる事になりますため、この方法を取る事はできれば避けたいと思っています。
後者の「お問い合わせ」を沢山受けても大丈夫にするためには、恐らくは私以外の誰かにお問い合わせ対応をして頂くか、私に私が納得する程度の報酬を与えるといったような解決策しか思い浮かびません。
この時、私以外の誰かがお問い合わせ対応をするにしても、私に報酬を与えるにしても、どちらにせよ金銭がかかる事になり、何もお金を生み出す導線の無い ことせかい においてはそれらの選択肢は取れません。
(なお、アプリ内広告でなんとかしたらどうか、と言われるのが「嫌」なので先回りして書いておくのですが、恐らくアプリ内広告を出したとしても私が納得するだけの報酬は得られないと考えています。そもそもの時点でアプリのユーザ数がそんなに多いとは思えませんし、広告を閲覧しないと読み上げやページめくりができなくなるような仕様は私が嫌ですので導入するつもりはありませんし、画面下部や上部に広告が出ているような形だったとすると、バックグラウンド再生が主なアプリでそれはどうなのとしか言いようがありません。また、「私が納得できるだけの報酬」がわからんという方は、例えば「アプリ開発ができる人に対して休日なしで毎日3,4時間の労働をさせるとして、その人に月間でいくら払った上に、どの程度の機材等の環境整備をしたら納得してもらえるか(又は自分がその雇われる人だとして、幾ら貰えてどのような機材や環境を提供されたら仕事を辞めないか)」というような形で考えてみていただければ良いのではないかと思います)
……と、いうことで、「GitHubから持っていって自分でビルドできる人達だけで楽しく使ってもらえればいいかな」というような発言になったというわけです。誤解なく説明するのって大変ですね。(まぁこの文章を読んでも誤解は発生するのでしょうけれども)
さて、以上のような形で私は絶望していますよ、というのが現状で、今の所はそれ以上の事は考えておりません。
そのため、少なくとも今の所は ことせかい を公開停止にするつもりはありませんし、今後も「お問い合わせ」はしてきて頂いて構いませんし、お寄せ頂きました「お問い合わせ」には真摯に対応するつもりですのでご安心下さい。
ただ、できましたらば、不都合報告の際にはこの2つ前のページ(恐らく12ページ目)の「開発者に問い合わせる」を良くお読みになった上で、問題を発生させるための手順やURL等の情報を細大漏らさず付記して頂いた上でお問い合わせ頂けますようお願いいたします。本当に、「お問い合わせ」への対応は苦痛なので、これ以上苦痛を増やすような真似はしないで頂けますと助かりますので重ねてよろしくお願いいたします。
2021年2月 いいむら